第3話 卒業パーティとピンヒールサンダル(後半)
力づくの足コキで射精を強要されつつも寸止めされた挙句、小さくされて踏み潰される落第生
血と肉とで汚れていたヒールサンダルは、怜奈によって綺麗に舐めとられた。
涎でべとべとにはなっていたけれど、少なくとも見た目の上では綺麗に仕上げたようだ。
評価できたのは、サンダルから剥き出しになっているわたしの足そのものには、一切口をつけなかったこと。
痛みと出血で集中力も欠けていただろうに、細心の注意を払ってヒールサンダルのみを掃除したというわけだ。
「ふぅん。まあまあですね」
ずいぶん躾けられているらしい。
わたしはサンダルの爪先で、怜奈の顎をくいっと持ち上げつつ、そう感想を洩らした。
その顔は蒼白。
今とて夥しい出血が続いているのだかから当然か。
実際、足元は彼女が流した血で、血だまりができつつある。
動脈が引き千切られれば、まあこんなものだろう。
長く虐待するのが目的なら、もっとうまくする。
そうしなかったのは、ちょっとした試験のためだ。
「明莉、といいましたね?」
いったん怜奈を無視して、明莉を見返す。
「はい……」
「この子、助けたいですか?」
「……!? 助けてくれるんですか……?」
「追試は合格でしたから」
そう。
実は怜奈に対し、わたしは最後の機会を与えたつもりだった。
怜奈は卒業候補生にまで残っただけあって、顔も良ければスタイルもいい。
やや幼児体型の明莉よりも、ずっと大人びている。
ついでに頭もいいのだろう。
この状況下で最後まで私の命令に従ったことからも、それなりの精神力もありそうだし。
とはいえ最大の理由は一つだ。
わたしは身内に甘い。
「明莉は和奏の弟子なのでしょう? その和奏は私の弟子です。ということは、あなたは孫弟子ということ。そのあなたの望みなのですから、叶えてあげますよ」
そういうことである。
和奏は今から百年以上前に出会い、この国で唯一の弟子となった子だ。
ついでにこの国を知るきっかけにもなった。
何人かいる弟子の中では最も表社会に出てもいて、積極的に弟子を作っては組織力を強化しているのは知っている。
あの比良坂学園というのは、いわば和奏の弟子を見出し、育てるための場所だ。
毎年数名の卒業生がいるらしいけれど、それらは和奏の作った組織の末端として、全国に散っていく。
そして時には明莉のように、素質豊かな子を見出せば、手籠めにして弟子として育て上げているようだ。
とはいえ和奏は案外律儀なようで、今回の明莉のことですら私の承諾を得ようとしていたし、今パーティーに集められている者の中には、きっと彼女がこれまでに作った弟子もいるのだろう。
そしてこの機会にわたしへと挨拶をさせる心づもりらしい。
今年は明莉という逸材がいたせいか、他の卒業候補生にはさほど興味もないらしいけれど。
例年ならば卒業できていたであろう怜奈でさえ、欲望のために消費しようとする程度には。
「本当に……?」
「本当です」
頷くと、わたしはサンダルの爪先を、今度は優しく怜奈の潰れた手のひらにあてがう。
怜奈はびくりと震えたものの、抵抗はしない。
足元にともる、淡い光。
それが収まれば、嘘のように怜奈の手は元に戻っていた。
「う、うそ……? 痛くない……?」
蘇生の魔法。
かなり高等な魔法ではあるけれど、わたしにしてみればどうってものでもない。
それにこの魔法は、彼氏君と付き合うにあたって不可欠な能力だ。
極力優しくしているつもりでも、ついスイッチが入って彼の人体を破壊してしまうこともままあるし、ね。
「そういうわけです。和奏、いいですか?」
「エラさまのお決めになったことに、不満などありません」
わたしの翻意に、和奏はまったくの不満をみせずに承知した。
あるいは今ほどみせた行為から、ある程度は意図をくみ取っていたか。
とはいえこのままでは期待外れだろう。
わたしは意味ありげに、放置されていた男子生徒を見返した。
先ほどまでの絶望も、怜奈が助けられたことで希望に変じたらしい。
もちろん、そんなものなど抱くだけ無駄なのだけれどね。
「さて。次はあなたの番ですね?」
「な、何でもしますから命だけは……!」
「無理ですよ?」
怜奈のように足元にすり寄って来た男子生徒へと、私は小首を傾げて無造作に足を振り上げる。
「ぎゃべぇあぁっ!?」
凄まじい衝撃音と悲鳴と共に、吹き飛ぶ男子生徒。
ちょっと脚に魔力を込めて振り上げた結果、である。
その男子生徒はそのまま壁に突っ込み、あまりの衝撃で埋まってしまった。
わたしたち魔法使いは、ただの人間からしてみれば、明らかに上位種だ。
単純な身体能力など比べ物にならない上に、魔力が続く限り寿命も無い。
軽く蹴っただけで人体などぐしゃぐしゃにできてしまうのだから。
「引きずり出してきてもらえますか?」
優しく、明莉と怜奈に向かってお願いする。
二人はすぐにも動いた。
壁に埋まってしまった男子生徒の腕を引っ張り、無理矢理引きはがしてくる。
その際に明莉などはまったく容赦しなかったせいか、引っ張られた腕は半ば千切れかけていた。
そしてどさり、と再びわたしの前にやってきた男子生徒は、すでに半死半生だったといっていい。
蹴り上げた際に股間を直撃させたので、完全に挽肉と化しているだろう。
二人に命じて出血で真っ赤になったズボンを下げさせれば、案の定、見るも無残に潰れた陰茎がぶらさがっていた。
周辺の骨は砕けただろうし、内臓も破裂したことだろう。
「あが……あ……が……」
虚しく悲鳴を上げる男子生徒へと、先ほどと同じ魔法で癒す。
もちろん、慈悲などではない。
むくむくと復活する陰茎を眺めつつ、そっとサンダルのソールを被せた。
ぐりぃ……!
「ひぎぃ……!」
まずは軽く踏みにじる。
男性のここは、弾力があって踏み心地がいい。
一方で脆く、この手加減がまた楽しい。
今日は厚いソールのヒールサンダルを履いているから加減は難しいし、その上さほど手加減する必要性もなかったから、まあ適当なものだ。
めぎゃ!
ぶりゅ!
ぐにゅ……!
陰茎の先から、とめどなく透明な液があふれてくる。
血に塗れていたモノがカウパー液と混ざり、潤滑がよくなっていく。
「いい、いだいいだい……!」
「おかしいですね? 気持ち良いはずなのですが」
わざとらしく、わたしはそう言う。
快感を得る閾値を越えている圧力で踏みつけているのだから、痛いのは当然。
でも知ったことではない。
わたしが見ていて気持ち良ければそれでいいのだから。
「ひぎゃっ、あぎゃっ、くがああああっ」
陰茎を踏みにじる卑猥な音と、悲鳴がしばらく続いた。
とっくに男子生徒のソレが限界を迎えていることは分かっている。
少しでもヒールサンダルへの圧力を減じれば、出るべきものが飛び出してくることだろうけれど。
「あなたが卒業できるのであれば、ご褒美としてイかせてあげてもよかったんですけれどね?」
落第生にかける慈悲などあるわけがないというものだ。
「残念ですが、あなたは射精の快感を得ることはもうできません」
そろそろ……ね。
ぐじゅり。
わたしは踏みにじっていた足に力を込めて、ソレを完全に踏み潰す。
「ひぎゃああああああ――――!」
絶叫。
その瞬間、男子生徒の陰茎の根本が破裂し、大量の白濁液が血と混ざった状態で飛び散ったのである。
「あらあら。ずいぶんと溜め込んでいたんですね?」
まさに破裂したせいもあって、その白濁液はところかまわずに飛び散ってしまった。
わたしの脚やドレスはもちろん、周辺にいた和奏のドレスも汚れ、染みを作ってしまう。
「ふふ。汚いですね」
そうつぶやけば、即座に怜奈が跪いて、血と精液に塗れた脚を舐めようと舌を差し出した。
ただしすぐにははわせない。
わたしの許可を待っている。
「いいですよ? 綺麗にして下さい」
こくり、と頷いて怜奈はぴちゃぴちゃとわたしの脚を舐めまわし始めた。
一方で明莉の方も、和奏の汚れた脚をすでに舐めている。
和奏は当然のように受け入れていて、うっとりとしてわたしを眺めていた。
顔も少し紅潮しているようで、物欲しそうな顔にわたしは苦笑する。
相変わらずわたしの行為を見るのが好きらしい。
むしろわたしの脚を舐めたそうにすらしているのがよく分かる。
まあ今夜は後で相手をしてあげましょう。
可愛い弟子ですしね。
となると、この生ごみは早く処分してしまおう。
あまり和奏が興奮してしまうと、誰彼構わずに襲いかねないし。
「まあ、放っておいても死にますが」
私は新しい魔法を唱える。
先ほどの回復魔法とは違う。
すると、男子生徒の身体が縮み始めた。
縮小の魔法。
これはけっこう便利で、日常で生活をしている際、不愉快な人間を処分する時によく使っているものだ。
小さくして踏み潰し、ぐちゃぐちゃになるまで踏みにじってしまえば、死体の処理もしなくていい。
楽なものである。
縮小した男子生徒は、十センチ程度くらいになっただろうか。
笑えるのはわたしの履いているサンダルのヒールよりも、低くなってしまったことだ。
この男子生徒から見れば、ヒールサンダルはかなり大きい構造物、ということになるのだろう。
「ほら、和奏? 踏み潰しますよ」
「はぁい」
甘ったるい声を上げて、和奏が歩み寄って来る。
かつん、かつん、と可愛らしいヒールの音をたてて。
「あ、ああああ」
小さくなった際に身体を再構成したことで、実は男子生徒の怪我は治っていた。
そのせいか、迫る和奏のヒールサンダルから逃れようとするものの、たったの一歩で追いつかれ、軽く蹴飛ばされてしまう。
「ぎゃふぅ!」
軽く、といっても、男子生徒からすれば強烈な一撃だっただろうけど。
ともあれ逃げようとした男子生徒は、またわたしの前まで転がってきた、という次第だった。
「エラさまに踏み潰されるんだよ? とっても光栄なことなにに、どうして逃げるの?」
「ふふ。可愛いことを言ってくれますね。そうだ、和奏。一緒に踏みましょうか」
「え、いいの?」
「いいですよ。まずはあなたが足を潰して、逃げないように固定してください」
「はぁい」
また嬉しそうに返事をした和奏は、尻もちをついていた男子生徒の両の足めがけて、黒いサンダルのソールを落とした。
加減などない。
一瞬で落ちてきたソールは、何の抵抗もなく、男子生徒の両脚を圧壊させたのである。
びちゃり。
「ぎゃああああっ!」
和奏の踏み出したヒールサンダルの靴底からは、大量の血が溢れている。
「……エラさま?」
踏みつけた姿勢のまま、早くと促してくる和奏。
それに応えるように、わたしも一歩踏み出す。
かつん。
メギィ。
「いやああああぎゃああ――――」
一気に踏み潰したりはしない。
わたしのヒールサンダルのソールは、男子生徒の上半身を踏んではいたけれど、まだ体重は移していないからだ。
でも、徐々に加重していく。
「ふふ」
わたしと和奏のヒールサンダルは、爪先部分でぴったりと触れ合っており、その下には哀れな男子生徒。
そんな体勢だから、わたしと和奏の顔はもう触れんばかりに近づいていた。
「あ……」
また物欲しそうな和奏の顔。
お互いに似たような高さのヒールを履いているから、身長差は本来の身長の差そのままだ。
170センチ程度あるわたしに比べ、和奏は150センチ台とやや小柄。
10センチ以上あるヒールを履いていても、身長差は変わらない。
「あとで、と思っていましたが、まあいいでしょう」
可愛い和奏のためである。
上から見下ろす形でいたわたしは、そっと和奏の唇を塞ぐ。
お互いに伸びていく舌。
くちゅり。
ぴちゅり。
卑猥な音が響く中、わたしの足元で鈍い音がした。
ヒールサンダルのソールの下で、男子生徒の頭蓋が圧壊したのだろう。
そのまま圧力を受け続けて、全身の骨が粉砕されていく。
とはいえわたしの興味はすでに和奏に移ってしまっているし、和奏もわたしの愛撫に恍惚としていて、足元など気にもしていない。
深いキスをしつつ、ドレスの上から胸を揉みほぐしてあげれば、びくびく、と和奏は可愛く身体を震わせる。
そしてそのたびに、足元では凄惨な状況になっていく。
わたしと和奏のヒールサンダルに代わる代わる踏みにじられて、もはや原形を留めていない男子生徒の肉片が嫌な音をたてるも、もはやどうでもいい。
しばしの間、わたしは和奏を相手に愉しませてもらったのだった。